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法人成りに適したタイミングとは

  • 文責:税理士 内堀昌樹
  • 最終更新日:2024年8月27日

1 個人事業主の方の法人化(法人成り)

個人事業主の方は、事業が拡大すると、法人化することが多いです。

このことを法人成りといいますが、法人成りは、信用を高める目的で行うこともありますし、税金を減らす目的で行うこともあります。

どのようなタイミングで、法人成りすればいいのか迷われる方も多いかと思いますので、こちらで説明していきたいと思います。

2 売上増加のタイミング

法人成りに適したタイミングとして、まずは売上げが増加したタイミングがあります。

売上げが増加することで増える可能性が高いのは、消費税です。

主に2年前の消費税課税売上が年間1000万円を超える場合に、消費税の課税事業主となり、消費税を納税する義務が生じます。

つまり、個人事業主の方が年間1000万円を超える売上げを上げると、2年後から消費税を納税する必要が出てきますので、かなりの負担となってしまいます。

しかし、新設法人の場合は2年前の売上高がないため、法人成り前の個人事業主時代の売上げがどれだけ多かったとしても、法人化してから2年間は免税事業者となります。

例えば、2023年に個人事業主として1000万円を超える売上げがあり、2024年に法人化した場合は、2026年までの2年間は消費税の納税義務が免除されます。

他にも要件がありますが、多くの新設法人の場合、2年間は消費税の納税義務を免れることができます。

このように、適切なタイミングで法人成りをすれば、消費税の支払いを2年間遅らせることが可能です。

なお、2023年10月1日からインボイス制度が開始されることで、課税事業者にならざるを得ない方もいらっしゃいますので、注意が必要です。

このような消費税について心配なことがある方は、税理士に相談されることをおすすめします。

3 利益が増加したタイミング

そして、利益が増加したタイミングも法人成りに適切なタイミングだといえます。

所得税において超過累進税率を採用している日本では、個人事業主の方の場合、利益が上がると最大45%の所得税が課税されますし、住民税は10%とされています。

参考リンク:国税庁・所得税の税率

他方、法人所得の場合には、中小法人では所得800万円までは15%、大法人及び中小法人の所得800万円を超える所得については23.2%の法人税が課税されます。

その他、法人地方税、法人事業税、法人住民税を加えた実効税率は30%程度となります。

この30%の実効税率は、利益がどれだけ増加しても税率はほとんど変わりません。

参考リンク:国税庁・法人税の税率

そのため、個人事業の税率が法人税の税率を越えたタイミングで法人成りすることをおすすめします。

一般的には、個人事業の利益が800万円を超えたあたりで税率が逆転するため、税金を抑えるという観点でいうとそのタイミングで法人成りを検討されるのかがよいかと思います。

法人成りのタイミングについてお悩みの方は、一度当法人にご相談ください。

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