確定申告の基本的な流れとポイント
1 確定申告に必要な書類を用意する
⑴ どなたも共通で必要な書類
ア 医療費控除について
病院や調剤薬局での処方を受けた金額が年間で10万円を超える場合には、医療費控除の適用を受けられ、所得税が安くなります。
ですので、病院や調剤薬局から受け取った領収書や、公共交通機関を使えずに病院等に行った場合のタクシーの領収書などは、保管しておくようにしてください。
なお、医療費控除が使えないような場合でも、対象の医薬品の年間購入金額が世帯で1万2000円以上であれば、セルフメディケーション税制が使えることがあります。
参考リンク:厚生労働省・セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
そのため、ドラッグストア等で医薬品を購入した際のレシートも保存しておくとよいです。
イ ふるさと納税について
ふるさと納税を利用されている場合は、寄附金控除が受けられ、所得税が安くなります。
ですので、ふるさと納税を利用されている方は、各地方自治体から送られてくる証明書を保管しておき、準備しておくようにしてください。
なお、ふるさと納税先の自治体が1年間で5つ以内であれば、ワンストップ特例制度を利用することで確定申告そのものが不要となります。
参考リンク:総務省・ふるさと納税ポータルサイト
⑵ サラリーマン等の方に必要な書類
サラリーマンの場合は、通常、勤務先の年末調整で税金に関する手続きが行われていますので、確定申告の準備をする必要はありません。
ただ、給与を2か所以上から受け取っている方や、給与の年間収入が2000万円を超える方、副業収入がありその収入が20万円を超えているような方など、一定の要件を満たす場合は、サラリーマンであっても確定申告が必要です。
参考リンク:国税庁・給与所得者で確定申告が必要な人
確定申告を行う場合は、源泉徴収票が必要となりますので、失くさないように保管しておいてください。
⑶ 賃貸不動産をお持ちの方に必要な書類
口座に家賃収入が振り込まれている場合は、その通帳の記帳をこまめに行うことが大切です。
金融機関によっては、一定の期間、記帳が行わなければ、通帳の履歴がおまとめされてしまい、印字することができなくなってしまいます。
こうなってしまうと、金融機関の窓口で通帳とは別に履歴を出してもらう手続きをしなければならなくなり、手間暇がかかります。
火災保険や地震保険に加入されている場合は、その控除証明書も失くさないように保管しておいてください。
⑷ 株式等の売買や配当がある方に必要な書類
証券会社の「一般口座」で株の売買や配当を受けている場合は、確定申告の必要がありますが、「特定口座」で株の売買や配当を受けており源泉徴収されている場合は、確定申告は原則不要です。
ただ、「特定口座」で株の売買や配当を受けている場合でも、例えば譲渡損失が出てしまい、他の証券会社の特定口座に保有している株式の利益と損益通算したいような場合や、その譲渡損失を翌年以降に繰り越したいような場合は、確定申告が必要となります。
参考リンク:国税庁・特定口座制度
株式の確定申告の要・不要は非常に複雑ですので、ご不安な方は、証券会社から特定口座年間取引報告書を取り寄せ、早めに税理士にご相談されることをおすすめします。
特定口座年間取引報告書は、最近はそれぞれの証券会社のホームページからダウンロードできることもあります。
2 申告書を作成する
⑴ 紙の申告書を利用する場合
確定申告書の作成を紙で行う場合は、1月中旬頃に申告書の用紙が税務署の窓口に設置されますので、そちらをご利用ください。
⑵ e-Taxを利用する場合
最近では、インターネットを利用して電子申告を行う「e-Tax(イータックス)」がありますので、そちらを利用して申告書を電子で作成することも可能です。
パソコン・スマートフォンのどちらからでも利用できます。
申告書の作成から提出に至るまでインターネットで完結するため、税務署へ赴く必要がなくなるというメリットがあります。
⑶ 会計ソフトを利用する場合
確定申告書まで作成することのできる会計ソフトも販売されていますので、そちらを利用することもおすすめです。
最近では、作成する方に簿記や会計の知識がなくとも作成することのできるようなソフトも販売されているようです。
⑷ 税理士に依頼する場合
ご自身で申告書を作成することが難しい場合は、税理士にご相談ください。
ただ、ご相談内容やご依頼内容によっては、税理士側でも調査検討が必要となる場合がありますので、申告期限までに余裕を持ってご相談されることをおすすめします。