生前贈与を孫に行うメリットはありますか?
1 みなし相続財産の対象外となる
亡くなる直前の贈与による相続税逃れを防止するため、亡くなる前3年以内の贈与は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。
なお、令和6年以降に贈与される財産については、この期間が順次延長され、最大7年まで延長されることになっています。
ただ、このみなし相続財産の対象となるのは、「法定相続人」に対する贈与です。
孫は、法定相続人ではないため、このみなし相続財産の対象外となります。
したがって、孫への生前贈与はメリットが大きいといえます。
2 孫が相続した場合の税額は加算される
例えば、孫が受取人となった生命保険契約に加入しており、その金額も生命保険の非課税枠を超えている場合、孫にも相続税がかかります。
この場合、孫に対する相続税額は、法定相続人の相続税額の場合と比較すると2割加算された金額となります。
そのため、法定相続人が相続する場合よりも税額が大きくなってしまいます。
そこで、被相続人の生命保険による相続税対策が、非課税枠を超えそうなのであれば、あえて生命保険で相続税対策を行うのではなく、生前に110万円ずつを贈与する、いわゆる暦年贈与で相続税対策を行うことにメリットがあるといえます。
3 贈与の特例が使えるケースがある
孫がマイホームを取得するための資金を贈与する場合は、住宅取得等資金の贈与の特例が使える場合があります。
また、教育資金として孫に渡す場合は、教育資金の一括贈与の特例が使える場合があります。
さらに、結婚や不妊治療、子育て資金等のために孫に渡す場合は、結婚・子育て資金の一括贈与の特例が使える場合があります。
これらは、いずれも最大で約1000万円~1500万円ほど、贈与税がかからなくなる特例ですので、非常に有益な相続税対策を行うことができます。
ただ、これらの贈与の特例は、要件が厳しく定められておりますし、使い切らずに残っている場合は相続税の計算に加算するなどの細かいルールがありますので、必ず事前に税理士に相談しましょう。
法人税の申告期限に関するQ&A 税理士には得意分野があるのですか?