税理士には得意分野があるのですか?
1 税理士の得意分野
依頼する税理士を選ぶ1つの基準として、税理士の得意分野が何かで決めることが考えられます。
このような話をすると、税理士であれば、すべての分野に対応できるのではないかという反応が返ってくるかもしれません。
しかし、医師について、内科、外科、眼科というように、診療科目毎にはっきりと分かれているように、税理士の世界も、科目毎にはっきりと分かれているわけではありませんが、現実には、皆様が想像する以上に、得意分野、不得意分野といったものがあるのです。
このため、税理士に依頼したものの、実はその税理士の得意分野ではなく、詳しいことを知らなかったため、最悪の場合、間違った処理がなされるといったこともあり得るのです。
それでは、同じ税理士なのに、なぜ、得意分野、不得意分野ができてしまうのでしょうか。
その理由は、次のとおりです。
2 税理士になる方法が複数あること
⑴ 主な方法
皆様は、どのようにすれば税理士資格をとることができるかについて、ご存知でしょうか。
税理士になる方法は、複数ありますが、多くの税理士は、①税務署に一定期間勤務することか、②税理士試験に合格することにより、税理士資格を取っています。
⑵ 税務署に一定期間勤務した場合
税務署に一定期間勤務することで税理士になった人は、全体の半数を占めます。
具体的には、所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税、酒税又はこれらの国税に関する法律の立案に関する事務に従事した期間が通算して10年以上であれば、国税に関する科目が試験免除となります。
また、国税に関して上記の事務以外の事務に従事していた者は、その期間が通算して15年以上になる場合は、国税に関する科目が試験免除になります。
他にも、地方税に関する事務に従事していた者は、地方税に関する試験が免除になるなど、それぞれの従事していた国税の科目、期間に応じて試験が免除になります。
したがって、長年税務署の職員だったのであれば、どの税金にも対応できるのではないかと思われるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
税務署の職員は、特定の税目を担当しますので、担当していた税目には詳しくなりますが、担当していない税目については詳細が分からないということがあり得るのです。
そして、税務署の職員は、大多数が所得税、法人税、消費税を担当していますので、相続税を担当する職員は、全体のうちの一部に限られることとなります。
⑶ 税理士試験に合格した場合
次に多いのが、税理士試験に合格した人です。
厳しい試験に合格したのであれば、どの税金にも精通しているのではないかと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
税理士試験には、選択科目があります。
具体的には、所得税、法人税、相続税、消費税、酒税、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税の9科目から、3科目を選択して受験することとなります。
このうち、所得税、法人税については、どちらか1科目を必ず受験しなければなりませんが、その他については、自由に選択することができます。
そのため、選択していない科目については、全く勉強したことがなかったとしても、税理士試験に合格し、税理士資格を取ることができることとなります。
さらに、大学院を出ている場合は、一部の試験科目が免除されることもあります。
過去に試験を受けた科目については詳しくなることができるかと思いますが、選択しなかった科目については、必ずしもそうではありません。
相続税については、選択する人が全体の1割前後になることもあり、試験の際の選択科目として選ばれることが多いわけではないと言えます。
3 普段の業務内容
税理士になった段階では詳しくなかったとしても、その後、実務経験を積むことができれば、他の税目についても詳しくなることができます。
ところが、税目によっては、普段の業務を通しては、担当することがほとんどなく、結果として、詳しくなることができないといったことがあり得ます。
多くの税理士は、特定の個人や法人を顧問とし、毎年の所得税、法人税、消費税の申告を行っています。
このように、所得税、法人税、消費税については、定期的に取り扱うこととなりやすい税目であるということができます。
これに対して、相続税については、特化している事務所でなければ、顧問先で相続が発生し、なおかつ、資産が一定額以上あったという場合に限って取り扱っているにすぎないことが多いです。
このため、相続税については、取り扱う場面がまばらになりがちです。
相続税は、職人気質の税目であると言われることがあり、独特の技術をいかにして磨くことができるかが勝負となります。
特に、不動産の評価や非上場株式の評価、借地権の評価については難易度が高く、日常的に相続税申告を取り扱っている税理士でなければ難しい分野であるといえます。
ところが、相続税自体、取り扱う場面がまばらであるため、こうした技術を身につける機会がそもそもないということが起こってしまうのです。
こうした事情から、相続税については対応できないため、他の税理士を紹介することにしている税理士もいます。
このように、相続税は、普段の業務の中では、取り扱う場面がまばらになりがちな税目ですので、詳しくなりにくい税目であると言うことができます。
4 税金に関するご相談
以上の点を踏まえ、当法人は、各税理士が特定の税目に専門特化し、各税目についての実務経験を深めていく体制を作っています。
名古屋の事務所においても、相続税に特化した税理士がおり、相続税の案件を集中的に取り扱っています。
これにより、相続税について、実務経験を積み重ね、高い技術を身につけられる体制を作っています。
このように、当法人では、過去の実務経験に基づくアドバイスをさせていただいておりますので、名古屋近辺で税金についてご相談事がありましたら、当法人までお問い合わせください。